出典:https://www.youtube.com/watch?v=KT096ULvFDE よりGladiaで文字起こし
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# AIって何?「AIは思考しているの?」について解説

今回は「AIって何?」というテーマで、「AIは思考しているのか?」という点についてお話ししていきたいと思います。

私は映画好きということもあり、AIと聞くとSF映画に登場するようなAIを思い浮かべてしまいます。でも、今回の話はSF映画ではなく、今現在実際に存在して利用されているAIと“思考”についてです。

## 今話題のAIの進化と疑問

最近話題になっているのは、ChatGPTのような会話型AIや、プロ並みの絵を描いてしまう画像生成AIなどです。かなり高度なAIが登場し、「もはやAIはコンピュータプログラムを超えた何かなのではないか?」と恐怖すら感じる人もいるほどです。

「AIが考える○○」「AIに聞いてみました」などという紹介もよく見かけます。でも、**そもそもAIは物事を“考えて”いるのか?**ということを、これから深掘りしていきます。

## AIは思考しているのか?結論から言うと…

結論から言います。

**2023年現在のAIは、何も考えていません。**

しかも「考えていない」どころか、どうなっているのかをAIの開発者すら理解できていないという現状です。なぜそんなことが言えるのか? これからその理由をお話ししていきます。

## AIは数値変換のための「関数」

前回の動画で簡単に説明しましたが、AIがやっていることの本質は、ある数値データから別の数値データへの変換作業です。この変換作業を数学的には「関数」と呼びます。

また、AIには「機械学習」という仕組みがあり、その中でも主流の仕組みが「ニューラルネットワーク」です。

## ニューラルネットワークとは?

ニューラルネットワークは、生き物の神経細胞を模倣した構造です。神経細胞(ニューロン)の働きを数学的にシンプルに再現したものを人工ニューロンと呼びます。

この人工ニューロンを網の目のようにつなげたモデルがニューラルネットワークです。つまり、ニューラルネットワークは人間の脳の真似事とも言えるわけです。

この構造を「関数」として使うと、データをうまく変換することができ、非常に使い勝手が良いのです。

## AIができること:回帰と分類

前回の動画では、ニューラルネットワークを使ってたくさんのデータから関数を作り出す「回帰」について紹介しました。ですが、AIはデータの分類もできます。

### 例:お客さんが商品を購入する確率

- 入力:年齢、年収、身長  
- 出力:その人が商品を買う確率

このようなAIは、人工ニューロン1個だけで構成された簡単なニューラルネットワークで表現できます。

## パラメータの学習=思考?

ニューラルネットワークにおいて、入力情報から出力を出すために重要なのが「パラメータ」(重み、バイアスなど)です。

このパラメータをどうやって決めるのかが「学習」であり、誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)という方法が使われています。

### 誤差逆伝播法とは?

#### 例え話:弓矢の練習

- 目的:的の中心を射抜くこと  
- 方法:矢を放ってみて、外れたらパラメータ(角度、力など)を少し変えて再挑戦

これを繰り返すことで、的に当たるパラメータが見つかる。それが学習です。

AIも同じように、初期値を適当に設定し、出力と正解のズレを確認しながらパラメータを調整していきます。

## AIの思考は「直感的」

このようにして得られたAIの「思考回路」(パラメータ)は、論理的なものではなく直感的なものです。

人間が物を「リンゴ」と判断するときも、色や形、質感などの膨大な情報をもとに直感的に判断しています。それと似ています。

## AIの判断根拠はブラックボックス

AIは、大量のパラメータを使って結果を出しますが、なぜそうなったのかを説明するのが難しいという特徴があります。

例えば、シンプルなAIであれば、「年収(x2)が大きく関わっていて、身長(x3)はあまり関係ない」といった分析は可能です。

ですが、パラメータが数十万〜数億に増えると、そうした分析は困難になります。

### 例:MNIST手書き数字認識AI

- データ:0〜9の手書き数字画像(60000枚)  
- 画像:28×28ピクセル(=784次元の入力)  
- モデル構成:
  - 入力層:784ニューロン
  - 隠れ層×2:各512ニューロン
  - 出力層:10ニューロン

このモデルでは、パラメータ数は169,706個にもなります。

学習自体は数分で終わり、正解率98%以上の精度を出すこともできますが、なぜその判断に至ったのか?を理解するのは極めて難しいのです。

## まとめ:AIは思考していない

- 現在のAIは思考していない。  
- パラメータ調整により直感的な判断をしているにすぎない。  
- 思考のように見えるが、それは統計とパターン認識によるもの。  
- ブラックボックス的な要素が強く、「なぜそうなったのか」を説明するのは困難。  

**AIは非常に便利なツールですが、人間のように「考える」存在ではないという点を、理解しておくことが重要です。**